災害時の情報伝達手段を見極める

コラム

2019/06/19

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2019/06/19

災害時の情報伝達手段を見極める

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不要な電波をできる限り減らすことで、電波利用環境の向上を図ることが、国際的に取り決められています。国内においては、防災行政無線を新規格へ移行する期限が、2022年11月30日までと定められました。これを踏まえ、防災情報の最適な発信方法を検討する自治体が増えています。ここでは、2つの自治体の導入事例をご紹介します。

導入コストも、ランニングコストも削減

栃木県の北西部に位置する日光市。世帯数は約36,000世帯で、83,000人ほどの人たちが暮らしています。2006年に5市町村が合併した日光市は全国で3番目に市域が広い自治体となり、防災情報対策をいかにおこなうかが1つのテーマでした。
  
旧5市町村の無線設備は、その有無や規格がまちまちだったため、同報無線の統一を検討していました。ただ、広い市内に無線を整備するにはかなりの費用が必要となるほか、山間部が多い日光市では電波の「不感地帯」が生まれやすいという課題もあったのです。それらを意識しながらさまざまな手段を検討した結果、「280MHz帯デジタル同報無線システム」にたどり着きました。
  
選定のポイントとなったのは、電波出力の強さです。不感地帯が生じにくくなっただけでなく、出力の高さによって中継局の数を減らすことができ、結果としてコストも大幅に抑えることができたのです。また、屋外拡声子局の消費電力を削減することで、ランニングコストである電気料金もかなり減らすことができています。

情報伝達手段を整え災害に備える

  • 人口約50,000人が暮らす福島県二本松市は、安達太良山の火山災害、阿武隈川などの水害、山間地域の土砂災害と、3つの災害に備える必要がありました。ハード面・ソフト面の両方から災害対策をおこなう一方、防災無線の整備も検討していました。

コスト的な問題から計画はなかなか進まなかったものの、東日本大震災が起きたことや、国の財源措置の後押しなどもあり、検討を本格化。「60MHz無線のデジタル化」「コミュニティFM方式」「280MHz帯デジタル同報無線システム」などを吟味した結果、2016年に「280MHz防災無線システム」を導入しています。
  
導入の決め手は電波の出力が高く、不感地帯を減らせるからでした。実際、二本松市では、1箇所の送信局で市内全域をカバーできています。そしてもう1つの決め手となったのが、コストの安さでした。送信設備がシンプルであるだけでなく、戸別受信機も安く、アンテナ工事を含めた戸別受信機の初期費用は、1台あたり従来の1/3に抑えられています。
  
どの自治体においても、多かれ少なかれ災害のリスクはつきものです。その対策を進めながら、いざというときにはしっかり住民の安全を守れるよう、正確かつ迅速に情報を届ける必要があります。導入のコストやスピード、ユーザーの利便性など、情報伝達手段を検討する際にはさまざまな要素を考慮しなければなりませんが、地理条件や特性、予算など、各自治体にマッチしたものを選びたいものです。

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