【専門家コラム Vol.16】外国人旅行者の心をつかむ「黒門市場」の取り組みとは

コラム

2017/07/20

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【専門家コラム Vol.16】外国人旅行者の心をつかむ「黒門市場」の取り組みとは

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執筆:やまとごころ編集部

食の街のプロを唸らす食材が手軽に食べられる市場

大阪屈指の繁華街ミナミにある黒門市場は、古くから大阪の食文化を支えてきた本格的な市場だ。かつては、目利きの料理人たちの仕入れの場という印象が強かったが、現在は、新鮮な食材を手軽に味わえる「食べ歩きできる商店街」として訪日客を魅了している。

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店舗のイートインスペースが充実し、握りたての寿司や焼きたての和牛ステーキが、その場ですぐに楽しめる。中国や韓国の観光客を中心に人気を集め、平日の昼間に訪れる客の7割がアジア圏からの観光客だという。

外国人観光客へのアンケート調査がインバウンド対策の原点

アジアを中心に外国人観光客が増えてきたのが2011年頃。当時はイートインスペースのある店は数軒だったが、その人気を受け他店にも急速に広がっていった。「個々の店舗の工夫が商店街全体の魅力を高める結果に繋がったんです」と語るのは、黒門市場商店街振興組合副理事長の吉田氏。
  
商店街としてインバウンドに力を入れ始めたのは2012年で、市場を訪れる訪日客にアンケート調査を行い、3カ月間で408名分の回答を集めた。「ごみを捨てる場所がわからない」「休憩するスペースがない」「トイレが少ない」という声に、買ったものを持ち込んで食べられる無料休憩所と多言語表記のトイレを整備した。また、「メニューが日本語で読めない」という意見をもとに、多言語対応のホームページとガイドブックを作成した。

感動をその場で世界にシェアしてもらう仕組みを作る

アンケートによると、黒門市場を知ったきっかけはブログや口コミだった。それを受け、無料休憩所に早急にフリーWi-Fiを導入した。市場で撮影したものを、興奮冷めやらぬうちにSNSにアップしてもらう作戦だ。導入後のアンケートでは65.8%がフリーWi-Fiを「使用した」と答えており、「その効果はとても大きい」と、吉田氏は成果を実感している。
  
2016年、無料休憩所は「黒門インフォメーションセンター」としてリニューアルオープンした。

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インフォメーションセンターには英語や中国語が話せるスタッフが常駐し、手荷物預かりサービスも始まったが、同組合事務局長の國本氏によれば、「2階部分にトイレを増設したことが大きかった」という。センターは大盛況で、TwitterやWeibo(微博)など外国人が日本滞在中にSNSで発信した投稿の集計結果をもとにした2016年のSNS発信地ランキングの「グルメスポット部門」で、黒門市場は全国5位にランクインしている。

明日使える英語表現が学べる授業

2015年から週に1回程度、商店街主催の英会話の授業が行われ、今年5月で3年目を迎えるが脱落者はゼロ。当初からの参加者はレベルが上がっており、今では入会希望者が「ついていけない」と諦めるケースもあるため、レッスン以外に基礎的な学習ができる環境整備を検討中だとういう。
  
長続きの秘訣は、授業内容が市場での接客に直結していることだ。「甘い」「辛い」など味の伝え方や、使ってはいけないジェスチャーの指導、道案内の表現など、「習ったら翌日には使えるのでやりがいがあります」と國本氏。メニューや店頭ポップの英語表現のアドバイスもあり、売り上げに直結する充実の内容だ。

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当たり前のことを着実に「黒門市場」は更なるステップへ

訪日客に愛され続けるその訳はアンケートにある。2012年から毎年、訪れる外国人客の声を聞き、迅速に確実に対応し続けてきた。当たり前のようで難しい「お客様の声を聞いて答える」にこだわり、インバウンドのトップランナーとなった黒門市場は今年、次のステップに向かって動きはじめた。
  
日本人客の取り込みだ。
  
「黒門、ええもん、ほんまもん」というラップにのせたPR動画は日本人の若者を意識している。日本人観光客向けのバスツアーとのコラボや、地元客へのポイントカードも強化する。黒門市場が時代を超えて愛されてきたのは、確かな品質とそれを扱う人々の活気だ。本物の食文化を、訪日客にいち早く提供した商店街は「本物であり続ける」取り組みへと歩を進める。「ほんまもん」として地元客と日本人に必要とされる市場である限り、外国人旅行者の憧れとして君臨するだろう。

取材協力:黒門市場商店街振興組合

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  • やまとごころ編集部

    株式会社やまとごころ メディア・コンテンツ事業部
    2007年より、インバウンドB to B 支援のための日本最大級のポータルサイト「やまとごころ.jp」を運営。「日本のインバウンドを熱くする」をモットーに、長年にわたりインバウンド業界に携わり続けた圧倒的な情報量と知見を活かし、インバウンド関連の最新情報を、日本全国のインバウンドに携わる企業・自治体の皆様に向けて発信し続けている。
      
    インバウンドポータルサイト「やまとごころ.jp」
    http://www.yamatogokoro.jp/

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