「爆買い」から「体験」へ。求められるものが変化した2016年のインバウンド

コラム

2016/12/28

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2016/12/28

「爆買い」から「体験」へ。求められるものが変化した2016年のインバウンド

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2015年の新語・流行語大賞にもなった「爆買い」。2016年は、その勢いが続くと思いきや、やや失速した一年となりました。訪日外国人旅行者数は増加の傾向にありますが、1人当たりの旅行支出額(2016年7-9月期)をみてみると、平均155,133円。前年同期比で17.1%マイナスという状況です。支出の内訳を見ても、買物代は75,535円から53,544円へと減少しています。

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「爆買い」が減った要因には、中国経済の減速や為替の円高もありますが、最も大きな理由は中国の税制変更。旅行者が海外で購入した商品を中国国内に持ち込む際の税率を、今年の4月に大幅に引き上げたのです。インバウンド対策といえば、「爆買いにどのように対応するか」というイメージがありましたが、このように訪日外国人旅行者の購買行動は、外部的な要因で大きく変化します。2016年は、「爆買い」頼みのインバウンド対策を見直す転機となった年だったと言えるでしょう。

訪日外国人旅行者の半数は、リピーター

日本を訪れる外国人旅行者のうち、訪日回数2回以上のリピーター客が半数を超えたことも、2016年を振り返るうえで大事なポイントです。

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はじめて日本を訪れる際に団体ツアーを利用する傾向が強いですが、日本で具体的にやってみたいことがある訪日2回目以降のリピーター客の多くは、旅行会社が企画するパックツアーではなく個人で交通機関や宿泊先を手配します。2016年7-9月期の団体ツアー利用の割合は21.4%。残りの7割強の旅行者は、個人旅行のパッケージを利用したり、個別でチケットを手配したりして、日本に訪れているようです。

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短期的なブームで終わりそうな「爆買い」とは違い、リピーター客の拡大は、日本の魅力に気づいたファンを増やすことですから、インバウンド対策の長期的なテーマとなっていくでしょう。

スマホ片手に行きたいところを巡る個人旅行者

旅のスケジュールを自由に組み立てられる個人旅行者(FIT:Foreign Independent Travel)は、自分がやりたいことを優先して行き先を選びますから、団体旅行では訪れづらいエリアやスポットにも、ふらっと突然現れることも増えるでしょう。彼らがどのように行き先を選んでいるかといえば、SNSとクチコミです。
  
個人旅行者のほとんどは、インターネットを使って旅の手配をし、スマートフォン片手に旅をします。スマートフォンの地図アプリに行きたい場所を事前に登録しておき、あとは地図上の表示にあわせて移動するだけ。GPSの誘導があれば、初めての場所でも気軽に訪れることができます。
  
地図アプリを使って行きたい場所へピンポイントで訪れ、SNSアプリを使ってその場の様子をリアルタイムで投稿する。そして、その投稿を見た人が、いいね!ボタンを押し、行ってみたい旅先リストに追加する。このようなスタイルで旅をする訪日外国人旅行者が増えつつあります。

モノ消費からコト消費へ変わるインバウンド

「爆買い」に代表されるモノ消費からサービス体験型のコト消費へ求められるものが変わった2016年のインバウンドの流れ。今後は日本らしさをより感じられるものや体験できるものに、人気が集まっていくのではないかと考えられます。
  
日本には、外国人には知られていない魅力あるスポットがまだまだたくさんあります。訪日外国人旅行者を継続して招き入れるためには、その魅力をさらに発信していかなければなりません。たとえば、観光パンフレットを新たに作るとしたら、データをただ並べたカタログ型だけではなく、読みながら旅の疑似体験ができるストーリー型のものが求められるでしょう。パンフレットをタブレット端末やスマートフォンで閲覧できる当社のMCCatalog+を使うと、レイアウトデザインを崩さずに英語や中国語などの翻訳表示ができるので、こちらの活用もおすすめです。

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