アジア圏からの旅行者に変化の兆し、2017年上半期のインバウンド事情

コラム

2017/08/30

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2017/08/30

アジア圏からの旅行者に変化の兆し、2017年上半期のインバウンド事情

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観光庁が2017年7月に発表した「訪日外国人消費動向(平成29年4-6月期)」のデータによると、訪日外国人旅行者数は722万人と過去最高を記録。同時に、旅行消費額も過去最高の1兆776億円を記録しました。目標に向かって順調に推移している日本のインバウンドについて、データをもとに変化の兆しを探ります。

中国と肩を並べる韓国からの旅行者数

前回のコラムでもご紹介しましたが、もっとも大きな変化は韓国からの訪日外国人旅行者数の伸びが顕著ということです。
  
2017年4~6月期の韓国からの訪日旅行者数は168万2,427人。中国の163万3,081人を抑えて堂々のトップとなりました。なんと前年比67.7%の伸び率です。増加の要因はまだ詳しくはわかっていませんが、LCC路線を中心にした新規就航や既存路線の増便などによって日本と韓国を結ぶ航空路線が便利になり、それが訪日のきっかけとして貢献していると考えられます。
  
2017年上半期の韓国と中国の訪日外国人旅行者数を比べてみると、ほぼ同数で拮抗しています。これまで日本に訪れる外国人旅行者といえば中国人が単独トップという印象でしたが、これからは韓国人旅行者の動向にも注目していかなければなりません。

四季に魅力を感じる東南アジアからの観光客

韓国と同様に、旅行者数に大きな変化が起きているのが、東南アジアの国々です。

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  • インドネシアが前年比44.3%増、フィリピンが前年比29.2%増、ベトナムが前年比23.3%増と、他の国々に比べて、大きな伸びを見せています。海外旅行を楽しめる中間層が拡大し、LCCのような運賃の安い路線が増えてきたことが、日本を訪れやすくなった要因です。雪や花見、紅葉など、日本の自然を体感できるコンテンツの人気が高く、熱帯気候にはない四季の移ろいに日本の魅力を感じていると考えられます。

訪日外国人消費動向(平成29年4-6月期)の調査結果で「費目別にみる訪日外国人1人当たり旅行支出」の項目をみると、フィリピンが19.7泊、ベトナムが29.6泊という結果でした。日本を初めて訪れる旅行者の割合が多いにも関わらず、平均宿泊数が他の国々に比べて極めて長いというのが特徴です。これは親族や知人宅に宿泊している人の割合が多いと考えられます。ホテルや旅館ではなく親族や知人宅に泊まることで宿泊コストを抑え、滞在日数を伸ばしているのでしょう。
  
親族や知人宅に宿泊しているということは、滞在中に日本のことを教えてくれる人が身近にいるということ。フィリピンやベトナムからの旅行者に対しては、日本でのガイド役を担っている親族・知人を通してのアプローチも有効かもしれません。

出身国によって異なるハラール対応

イスラム教というと中東の国々を思い出しがちですが、インドネシアは実は世界最大のイスラム教国。インドネシアからの旅行者が増えると、ムスリム向けの対応をしている店舗や施設の需要も高まります。
  
たとえば食事であれば、イスラム教の教えに基づいて調理された料理しか食べられないため、ハラール認証をとった飲食店が今後求められます。しかし、同じイスラム教徒といっても、規律をどこまで守るかということも国によって異なるようです。ハラール対応するにしても「イスラム教徒向けであれば、こうすべき」といった押し付けの考え方ではなく、イスラム教徒の旅行者が、何を食べられて何がだめなのかを自分たちで判断するための情報を、ていねいに提供していかなければなりません。
  
このようにアジア圏だけをみても旅のスタイルは、国によって異なります。彼らが日本で快適に過ごせるよう、多言語での情報提供はより一層重要にものとなってきます。

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  • 当社の提供している「MCCatalog+」は、日本語の観光ガイドやフリーペーパー、レストランメニューなどを、スマートフォンやタブレット端末で簡単に多言語(英語・中国語簡体字・中国語繁体字・韓国語・タイ語・ポルトガル語)で閲覧することができます。好奇心旺盛な訪日外国人旅行者に対して「MCCatalog+」を使って、ディープな日本の情報を提供してみてはいかがでしょう。

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