“暮らすように旅する”ことを望む訪日外国人旅行者

コラム

2016/08/30

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2016/08/30

“暮らすように旅する”ことを望む訪日外国人旅行者

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2012年ロンドンオリンピックの38個を上回る、41個のメダル獲得で全日程を終了した2016年のリオオリンピック。その閉会式は、ハローキティ、キャプテン翼、パックマン、ドラえもんなど、日本が誇る名キャラクターとともにマリオの姿に扮した安倍首相が登場するというサプライズ演出で、海外メディアでも話題となりました。その見事なプレゼンテーションで、東京オリンピックへの期待が大きく高まっています。

旅の常識を変えてしまうシェアリングエコノミー

2020年に控えた東京オリンピックに向け、リオオリンピックからインバウンド施策のヒントを学ぶとすれば、それは何でしょうか。その答えの一つに「シェアリングエコノミー型サービスの普及」が挙げられます。
  
「シェアリング・エコノミー」とは、典型的には個人が保有するスキルのような無形のものも含む遊休資産の貸出しを仲介するサービスのこと。貸し手は遊休資産の活用による収入が見込め、借り手には資産を所有することなく利用ができるというメリットがあります。貸し借りが成立するためには信頼関係の担保が必要ですが、インターネットとソーシャルメディアの普及によって、そのようなコミュニティをつくることが容易となりました。

宿泊場所をマッチングする「Airbnb」

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2016年のリオオリンピックが開催されたブラジルでは、「Airbnb(エアビーアンドビー)」が公式パートナーとなり、オリンピック開催期間中の宿泊場所の提供に貢献しました。
  
Airbnbは、空き部屋やスペースを提供するホストと宿泊施設を探しているゲストをつなげるプラットフォームを提供しているWebサービス。すでに世界190カ国・34,000以上の都市で、200万件以上の物件が登録されています。日本では「民泊」とも呼ばれることが多いので、すで耳にしている方も多いのではないでしょうか。
  
Airbnbの利用はすべてインターネット経由、ソーシャルメディアのアカウントを使って登録するところから始まります。そのためスマートフォンは必須アイテム。宿泊場所の検索からホストとの連絡、料金の支払いなど、すべての手続きがスマホ上のアプリで完結します。

旅先でスマートな移動を可能にする「Uber」

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Airbnbは宿泊場所のマッチングサービスですが、同じような交通系のサービスもあります。「Uber(ウーバー)」は、スマートフォンやGPSなどの技術を活用し、移動ニーズのある利用者とドライバーをマッチングさせるサービスです。
  
こちらも利用前にスマホアプリをダウンロードします。利用者は行き先が決まったら、スマホアプリから乗車場所と目的を設定。ご利用の車種を選んで、あとはドライバーが迎えに来るのを待つだけです。ドライバーの情報はアプリから顔写真と車両の情報を確認済み。ドライバーにはアプリ経由で事前に目的地が伝わっていますから、改めて説明する必要もありません。目的地に到着したら、車から降りるだけ。料金は事前に登録しておいたクレジットカードから自動的に引き落とされます。

暮らすように旅する外国人旅行者に向けて

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  • シェアリングエコノミー型サービスの代表格ともいえるAirbnbとUber。2020年の東京オリンピックにあわせて訪れる外国人旅行者の中には、これらのサービスを当たり前のように使いこなす人たちが大勢いることでしょう。それはつまり、宿泊場所や交通手段を、インターネットやスマートフォンを使って自分で直接手配してしまう個人旅行者の増加を意味します。

個人旅行者がAirbnbを利用するのは、ホテル住まいで気疲れするような旅ではなく、自宅感覚でその街で暮らすように過ごしたいから。Uberを利用するのも現地のドライバーとコミュニケーションを取りながら、時にはハプニングも楽しみながら、自分だけの旅の思い出を作りたいという現れでしょう。
  
東京オリンピックが開かれる2020年に向け、”訪日外国人旅行者”とひとくくりにしてインバウンド施策を考えるのではなく、日本を訪れてくれる良き友人・隣人として、旅行者一人ひとりと接する姿勢が大事です。彼らと良好なコミュニケーションを図るためにも、まずは言葉の壁を取り払うこと。多言語対応での案内は、より重要なものになってくるでしょう。

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